饅頭は代表的な和菓子の一つとして日本中で親しまれ、こんにち様々な種類のものが存在しております。酒饅頭は、今やとてもメジャーな温泉饅頭や肉まん・あんまん等の中で、何か特殊な異端的な存在に思われがちですが、実は日本最古の歴史を持つ、言わば日本の饅頭の原点ともいうべき存在なのです。
饅頭の歴史は古く、中国の三国志で有名な諸葛孔明が南蛮征伐の折に暴れる河を鎮めるため、人間の頭部に代えて小麦の皮で肉を包みお供えしたものが起源と言われております。日本に伝わったのは鎌倉・室町時代、留学僧によって伝えられ、精進的な意味合いから中身の具材は肉ではなく穀類(大豆や小豆)になったということです。
糀(こうじ)の醗酵力を利用して小麦の皮を柔らかく膨らませる製法で、その製造工程が途中まで酒を造る工程に似ていることと、仕上がった饅頭も酒の香りがするので酒饅頭(さかまんじゅう)と呼ばれるようになりました。
このように日本の饅頭のルーツである酒饅頭の製法を受継ぎ、そこに当店独自の技法を加味し、文化元年の創業より聖地日光の地で二百有余年の長きに亘り代々造られてきたものが、湯沢屋のまんじゅう(元祖日光酒饅頭)でございます。湯沢屋のまんじゅうは、日光の地で他の追従をゆるすことなく、近年まで【日光饅頭】(日光まんぢう)と呼ばれ親しまれて参りましたが、商標登録の制度ができ【日光饅頭】では登録が出来ないことから、【湯沢屋のまんじゅう】で商標登録しております。
湯沢屋のまんじゅうは、酒饅頭の命であります糀(こうじ)造りから始めまして、その自家製の糀でモチ米を醗酵させ、その絞り汁で小麦粉を溶き再び醗酵させます、そうして出来た生地で自家製の餡を包み最終醗酵させてから強い蒸気で蒸して出来上がりです。この製法は創業当時から変わらず、工程は糀造りから数えると延7日間掛かります。
生地の醗酵は、季節やその日の温度・湿度等によって微妙に変化するので経験を積んだ職人の勘により行われております。マニュアル通りに行かないことが非常に難しいところです。
湯沢屋のまんじゅうの皮には独特の酸味がありますが、この酸味は、創業以来当店に住み続けている天然酵母と、自家製の糀が発酵する際に生成する各種有機酸によるものでありまして、この有機酸には、腐敗を防止する働き、食欲を増進させる働き等がある上、酒饅頭は醗酵食品ですので大変消化吸収が良く滋養に効果があると言うことで、昔から長寿菓子として珍重されてまいりました。湯沢屋のまんじゅうは、保存料・香料等の添加物を一切使用しておりませんので、お子様からお年寄りまで安心してお召し上がりいただけます。さらに皮の酸味と餡の甘さのバランスが非常に良いので、甘い物の苦手な方にもきっと喜んでいただけると存じます。
糀(うるち米、種麹)、もち米、小麦粉、小豆、砂糖 ※添加物は一切使用しておりません。